Shinjuku Poème

新春(散)見聞録

今日は年末年始あたりで見た映画やドラマについて散文。 多少のネタバレ込みで描くのでご注意を。

1. バービー

予想や期待をいつも上回る、さすがグレタ・ガーウィグ・・!主演に加えプロデュースもやったマーゴットロビーもさすが。(しかもマーゴットは同世代なのでリスペクトしかない・・) 後述する『65』の後に観たからか、冒頭のパロディギャグからしてすごい笑えたし終始面白かった。

冒頭の『21世紀宇宙の旅』オマージュは、中盤でケンが未知(=男性優位社会)との遭遇を果たす時のBGMにも活かされててまた笑えたし、その後もホドロフスキーのホーリーマウンテン的セットだったり、「シャイニングごっこなの?」というフレーズが出てきたりして、ほかにもパロディやオマージュがたくさん盛り込まれてるんだろうなあ、という感じ。

これは監督の映画愛でもあり、サブカル男子がポリコレにうんざりしないための繋ぎでもあり、さらには後半の“女の子に名作を解説したがりのオレ”シーンがさらに面白くなる布石だな、とも思った。

もう一つ。「人形」であることの表現が、ツルリとして関節がカチカチとしている、みたいなあからさまなやり方ではなくて、「人形を動かしている子供たち」視点で構成されていることが感動した・・。これだと生身の人間が無理にロボット的な動きをしようとして演技に違和感が出る、ということもないし、何よりバービー(や日本だとリカちゃん人形ですね。私もヒーターで髪の毛焦がしてへんてこりかちゃんを爆誕させてしまった…。)で遊んでいた私たちの心がぐっと掴まれる。

簡潔には語りきれない良さがたくさんありました。

2. 65 シックスティ・ファイブ

アダムドライバー主演のSFということで期待を胸にみたけど、前半パートみたところでギブアップした・・。 つかみの弱さとテンポの悪さ、SF的表現の新しさのなさ、シーン撮りたさ優先っぽい唐突なプロップ(小道具)、そしてSFかと思ったら、結果ほぼサバイバルもの&自分の苦手な急に何かが出てきたりして驚かされる系のやつだ、、ということに気づき、静かにブラウザを閉じました。 アダム・ドライバーはSFと相性悪いのかもしれない。。。

3. ツイン・ピークスシリーズ(1990、2017)

観た、といってもオリジナル・シリーズはローラ・パーマー事件解決後、とたんに緊張感がなくなってしまった感じがあって(実際視聴率も低迷して終わったらしい)16章以降はざっと見した。。 16章までの不穏と牧歌の混ざり合い方は秀逸で、マーク・フロストとのコラボレーションが生んだ絶妙なバランスなのだなあ、と感じた。

リミテッド・イベント・シリーズの方はリンチ色バリバリで、就寝時の夢も悪夢になってきたので大まかなストーリーだけ追った。。 この時点でファンには怒られそうだけれども、以下気になったことひとつだけ。

オリジナル・シリーズ(1990)では、仕事の合間にとるコーヒーやドーナツなどを運ぶのはほぼ女性なんだけれど、リミテッド・イベントシリーズ(2017)では、コーヒーやドーナツを運ぶ役は男性の若手社員だったり、女性と男性がセットだったり。 そこには作り手が嫌々対応している感は特に無いんだけれど、時代に忖度したんだなあ、というのがきっちり入っているその合間で、オリジナルシリーズから引きつづく形で、ブロンドの女性が慄いたり悲しんだり恍惚の表情を見せたり・・みたいなシーンがバンバン出てくるもんだから、その温度感の差が微妙に気になってしまった。。

美しいモチーフとして機能する、という点においては、例えば空山基の描く女性にだって言えるのだけれど、素直にかっこいい〜と思っちゃう。 絵と違って映像(ましてやドラマ)はストーリー運びもあるし、その辺りのバランス難しいだろうなあと感じた。